幼少期から数々の業績を残してきた卓球界エースの張本智和(はりもとともかず)選手。
具体的には、以下のような実績をあげており、「神童」と呼ばれてきました。
- 小学生以下の全日本選手権で、1年生から6年生まで史上初の6連覇を達成
- 2017年の世界選手権で、13歳で史上最年少のベスト8入りを達成
- 2017年のチェコオープンで、14歳61日でワールドツアー史上最年少優勝を達成
- 2018年の全日本卓球選手権大会の男子シングルスで、14歳208日の史上最年少優勝を達成
最近では、2024年10月に開催されたアジア卓球選手権で、男子シングルスで金メダルを獲得しています。
このように、現在の日本の卓球界を語る上で、外すことのできない張本智和選手。
中国籍から帰化したことでも知られています。
「卓球大国の中国籍だったのに、どうして日本に帰化したの?」と疑問に思う人も多いようです。
そこで、今回は張本智和選手が日本国籍に帰化した理由から、ご両親の国籍についてまで、迫っていきたいと思います。
張本智和はなぜ日本へきた?

ですから、正確には「張本智和が日本に来た」のではなく、「両親が日本に来て、張本智和が生まれた」ということになります。
そこで、張本智和選手のご両親について、また、ご両親がなぜ日本へ来たか?についてご紹介していきます。
両親は中国の元卓球選手

張本智和選手の一部SNSなどでハーフ?と噂されていましたが、ご両親は中国人です。
- 張宇(チャン・ユー)さん
- 1997年 中華人民共和国第8回全国運動会の男子ダブルスで、銅メダル獲得
- 張凌(チャン・リン)さん
- 1994年 全中国選手権の混合ダブルスで、銀メダル獲得
- 1995年 第43回世界卓球選手権に出場(メダルの獲得はなし)
- 1996年 現役を引退
卓球マレーシア女子代表コーチ就任、マレーシア女子ナショナルチーム監督も務める
このように、卓球大国中国でプレーしてきたご両親。
なぜ、日本にやってきたのでしょうか?
両親はなぜ日本へきた?

2022年6月27日に配信されたNumber Webの「「卓球より勉強を」「東北大へ進んでほしかったんです」「宿題ちゃんとやってる?」張本智和(19)の父が明かす“天才児の子育て術”」では、ご両親が日本にやってきた経緯が詳しく報道されています。
1990年代。
中国のプロ卓球選手は、引退後に諸外国で経験を重ねて帰国し、中国のプロチームの指導者になる、という流れが一般的だったそうです。
上記の記事によると、張宇さんも最終的には中国に帰国することを前提にしていたようです。
そして、「諸外国での経験」の一環として、1998年に仙台市に張本卓球場を立ち上げました。
ご両親の詳細な交際の経緯は不明ですが、おふたりはもともと四川省のチームメイトだったそうです。
そして、ふたりで張本卓球場を立ち上げています。
管理人卓球大国中国のトップ選手おふたりの子供、張本智和選手が卓球に関わるようになったのも、自然の流れといえますね!
次は、張本智和選手が帰化に至る経緯についてみていきましょう。
張本智和が日本へ帰化した理由は?

それでは、なぜこのタイミングで帰化することになったのでしょうか?
張本智和選手が帰化した理由については、前述のNumber Webと、2020年 3月 24日に配信された、国際オリンピック委員会の「張本智和: 両親は中国の元プロ卓球選手。幼少期は英才教育を受けず学業優先で育つ【アスリートの原点】」から読み取ることができます。
帰化のもっとも大きな理由は、
そして、オリンピックの選考の際に重要になる、全日本選手権で「一般の部」に出場するためには、日本国籍が必要だったのです。
- 日本卓球協会が主催し、その年の日本一を決めるもっとも権威のある大会
- オリンピック代表選考において重要な大会の一つ
- 年齢制限はない
管理人2020年の東京オリンピック出場の切符を手にするため、全日本選手権の「一般の部」で実績を作りたかったんですね!
帰化選手としての思い

張本智和選手が帰化したことは、2014年時点で公表されました。
全日本選手権で「一般の部」に出場するため、日本国籍を取得したことを公表する必要があったためだと考えられます。
2022年10月9日に配信されたTHE ANSWERの「帰化から8年、張本智和が持つ日本への愛 衝撃の中国斬り直後、明かした境遇への本音」から、張本智和選手の思いを知ることができます。
張本智和選手は帰化選手ということについて、以下のようなことを語っています。
- 直接関わった人の中に、帰化選手ということでイヤなことを言ってきた人はいない
- 名前が売れだした15~16歳の頃に、ネット上のコメントに傷つくことがあった
- 最初はつらい気持ちがあったが今は全くない
- 親が中国人だと感じることなく、生活できていた
- 自分がもともと日本人でも両親が日本人でも、何か言う人はいると思う
このように、帰化選手としてネットでの誹謗中傷にさらされることがあっても、日本に対して「温かい国」と話しており、日本愛を語っています。
同じような境遇の子どもたちへの思い

上記の記事で、張本智和選手は同じような境遇で悩む子供たちに向けて、以下のように話しています。
自分が納得して気持ちよく過ごすことが大切。自分が正しいと思うことをすればいいと思います。
「多様性」が叫ばれるようになった昨今ですがネットでの誹謗中傷は激化の一途をたどっています。
SNSが普及し、誰でも匿名で手軽に発信ができるようになりました。
張本智和選手の場合、世界で活躍しているという特性上、嫉妬からの反転アンチが発生している状況もあるでしょう。
ところが、自分とは違うものを排除しようとする動きは、日本で暮らす「在日外国人」や「帰化者」に対しての風当たりを強くする傾向があります。
張本智和選手は、同じような境遇で悩む子供たちに向けて、正しことをしていても文句を言う人はいる、と語っています。
「負けたくない」という卓球への強い思いをもって努力を重ね、結果を出し続けている張本智和選手。
管理人帰化選手という難しい立場で、心無い誹謗中傷を受けてきたからこそ、
言える言葉ですね!
このように、現在「日本人」として、誇りをもって世界の卓球の舞台で戦っている張本智和選手。
ご両親の現在の国籍はどうなっているのでしょうか?
張本智和の両親の国籍は日本?

帰化したタイミングで、「張(チャン)」姓から「張本(はりもと)」姓になりました。
お母さまの張凌(チャン・リン)さんは、夫の宇さんにあわせて、張本卓球場のコーチ紹介欄では「張本凌(ハリモト・リン)」となっていますが、中国籍のままです。
帰化に対する両親の思い

前述のNumber Webでも、宇さんは、帰化直後は複雑な心境だったことを明かしています。
帰化した直後は複雑な感情もありましたが、今は日本人として日本代表になった息子をサポートすることにまったく迷いはありません。
また、2017年6月6日、VICTORYが配信した「張本智和は、なぜ日本のエース・水谷隼を圧倒できたのか? その半生に迫る」から、張本家のコミュニケーションの様子がうかがえます。
外では日本語を話し、家族とは中国語で話していた、と言います。
この記事自体は2017年のものですが、上述のNumber Webでも普段は中国語でアドバイスをしている旨が記載されています。
管理人お母さまの張凌さんは帰化していないことから、母国中国を大切にしている様子がうかがえますね。
息子のサポートを選択した父

複雑な心境を経て、現在は「日本人」として日本代表の張本智和選手をサポートすることを選択したお父さまの宇さん。
現在、張本卓球場のコーチ紹介のページには宇さんの肩書に以下のものがあげられています。
- JOCエリートアカデミーサポートスタッフ
- 日本オリンピック委員会強化スタッフ
JOCエリートアカデミーは、将来オリンピックで活躍するトップアスリートを育成する目的で、日本オリンピック委員会(JOC)が設立した組織です。
中学1年生から高校3年生が寄宿舎で生活を送り、競技力と人間力の両方を向上させるための指導を受けています。
JOCエリートアカデミーの指導者になる条件として、「国籍」は含まれていません。
しかし、日本国内での選手育成や国内大会への参加、代表チームの監督といった役割を担うことから、日本国籍またはそれに準ずる在留資格(永住者など)が強く求められると考えられています。
また、宇さんはJOCエリートアカデミーの日本代表男子のジュニア担当コーチとして、張本智和選手の指導にあたっていました。
また、日本オリンピック委員会強化スタッフはオリンピックに帯同しています。
上述のNumber Webでは、通常は中国語でアドバイスをしているものの、中国戦では日本語でアドバイスをしていることが報じられています。
管理人宇さんは直接張本智和選手をサポートするために帰化した、と考えられますね!
母の思い

ですが、「2020年の東京オリンピックで金メダルをとりたい」という張本智和選手の夢をかなえるために帰化したことは、ご夫婦で決断したことだと言われています。
上述のNumber Webでは、張凌さんは張本智和選手に対して、「卓球よりも勉強を頑張ってほしい」と思っていたことが報じられています。
張凌さんご自身が卓球大国中国の厳しい訓練を受けてきたからこそ、張本智和選手を卓球の選手にしたいとは考えていなかったとも報じられています。
その上で、「2020年の東京オリンピックで金メダルをとりたい」という、張本智和選手の夢をかなえるために帰化を受けて入れている張凌さん。
管理人「国籍を超えて息子を応援したい」という、張凌さんの母親としての思いがよくわかりますね!
まとめ
今回は張本智和選手が日本国籍に帰化した理由から、ご両親の国籍について迫っていきました。
ご両親はもともと中国のプロ卓球選手でした。
中国のプロ卓球選手は、引退後に諸外国で経験を重ねて帰国し、中国のプロチームの指導者になる、という流れが一般的でした。
そこで、中国に帰国することを前提に、仙台市に張本卓球場を立ち上げました。
この際、お父さまの張宇(チャン・ユー)さん、妹の張美和(チャン・メイフーア )さんも、ともに帰化しています。
一方、お母さまの張凌(チャン・リン)さんは中国籍のままです。
張宇さんは帰化することで、JOCエリートアカデミーの指導者として、張本智和選手を直接サポートしていました。
現在も日本オリンピック委員会強化スタッフとして、オリンピックに帯同し、張本智和選手にアドバイスを送っています。
張凌さんが張本智和選手の帰化について、直接コメントしている情報はありません。
しかし、張本智和選手の帰化については夫婦での決断であり、国籍を超えた息子への思いがうかがえます。
張本智和選手は帰化にあたって、ネットでの誹謗中傷に傷つくことはあったと語っています。
しかし、実生活の中ではイヤな思いをすることや不自由することなくすごせていたとも語っており、日本を「温かい国」として日本愛を語っています。
「帰化選手」という難しい立場の張本智和選手。
ネットでの誹謗中傷は現在もあるものの、周囲の声に流されず卓球に全力を注ぐ姿は多くの人の励みになっています。
これからも、勝利に向かって突き進む張本智和選手から目が離せませんね。
最後までお読みいただきどうもありがとうございます。
